ローラーコンベヤとは

ローラーコンベヤとは?特長・選び方・導入のポイントを徹底解説

ローラコンベヤは、物流や製造現場で効率的な搬送を支える重要な装置です。シンプルな構造と高い汎用性により、さまざまな形状や重量の物品を安定して運ぶことができ、倉庫や工場、食品業界など幅広い分野で活用されています。本記事では、ローラコンベヤの基本構造や種類、選定方法、運用のポイント、メンテナンスの重要性について解説します。導入を検討している方や運用を最適化したい方に、役立つ知識をお届けします。

ローラーコンベヤとは?

ローラコンベヤとは、複数のローラを回転させることで「モノ」を搬送する装置であり、あらゆる業種の製造工場や物流の現場で広く使われています。
ローラコンベヤは駆動型(モータやチェーンでローラを回す)と非駆動型(重力や手動で動かす)の2種類に分類され、運びたい「モノ」を直接ローラの上に置いて搬送させます。軽量物から重量物まで幅広く製品や材料などを効率的に移動させる役割を果たし、シンプルな構造と高い汎用性から、さまざまな用途に適応可能な搬送装置として認知されています。

物流や工場での重要性

ローラコンベヤは、製造工場や物流の現場で効率的に「モノ」を搬送するための中心的な装置です。

物流現場での重要性

倉庫や物流センターでは、商品の仕分けやピッキング作業を効率化するために活用されています。
パレットや箱詰めされた商品など、さまざまな形状の「モノ」を安定して搬送させることができます。

製造工場での重要性

生産ラインでは、部品や製品を搬送することで自動化を実現し、作業効率を大幅に向上させます。
たとえば、組み立て工程での部品供給や組立作業、完成品の搬送に使用されます。

労働力削減の貢献

人手による運搬作業を減らすことで、作業者の負担軽減や労働コスト削減につながります。

ローラーコンベヤの基本構造と仕組み

主な構成要素

ローラコンベヤを構成する主要な部品は以下の通りです。

ローラ

搬送物を支えながら回転し、スムーズに搬送させるための部品。
材質は金属製(耐久性が高い)や樹脂製(軽量で摩擦が少ない)などが使用されます。

フレーム

コンベヤ全体の構造を支える骨組み部品。
「モノ」をコンベヤで搬送するにあたり、フレームが荷重を均等に分散し、安定した搬送を提供します。
材質は一般的に鋼材やアルミニウム製で、使用する状況や環境に応じて使い分けます。また必要に応じて長さの変更なども可能です。

駆動部(駆動型の場合)

モータとチェーンなどを使用してローラを回転させるための部分。
駆動型コンベヤでは、安定した搬送を支える重要な役割を果たします。

脚(スタンド)

搬送面高さの調整や傾斜設定を可能にする部品。
作業環境やレイアウトに応じて柔軟に変更できます。

動作の仕組み

ローラコンベヤは、その動作方式によって以下の2つに分類されます。

駆動型ローラコンベヤ

モータやチェーンを利用してローラを回転させて、「モノ」を搬送します。
搬送速度や方向を調整できるため、製造工場の生産ラインや物流センターでの搬送に適しています。
駆動方式には以下の種類などがあります。

丸ベルト駆動(一番安価な駆動方式です)

画像イメージ

チェーン駆動(搬送質量が最も大きい駆動方式です)

画像イメージ

平ベルト・Vベルト駆動(平ベルトやVベルトをローラに接触させ摩擦で回転させます)

画像イメージ

モータローラ駆動(ローラ内部にモータが内蔵されており、単体での回転が可能です)

画像イメージ

非駆動型ローラコンベヤ(フリーローラコンベヤ)

重力を利用したり、手動で「モノ」を搬送します。
ローラコンベヤに傾斜をつけることにより、搬送物の重さを利用して搬送します。
低コストでの設置が可能で、主に短距離搬送や一時的な作業で使用されます。

【特徴的な動作のポイント】
①駆動型は制御性に優れる
電気制御を行うことで自動化が可能で、連続搬送や間欠運転が可能です。

②非駆動型はシンプルで低コスト
設置が容易で、特に軽量物や傾斜が利用可能な場所に最適です。

これらの仕組みを活用することで、ローラーコンベヤは多様な搬送ニーズに応えています。

ローラーコンベヤの種類と用途

主な種類

ローラコンベヤは、その用途や動作方式に応じていくつかの種類に分けられます。

フリーローラコンベヤ(グラビティコンベヤ)

重力を利用したり、手動で「モノ」を搬送します。
ローラコンベヤに傾斜をつけることにより、搬送物の重さを利用して搬送します。
低コストでの設置が可能で、主に短距離搬送や一時的な作業で使用されます。

駆動ローラコンベヤ

モータやチェーンを利用してローラを回転させて、「モノ」を搬送します。
段ボールなど箱ものの搬送に適しており、次の種類があります。
丸ベルト駆動:一番安価な駆動方式。
チェーン駆動コンベヤ:搬送質量が最も大きい駆動方式。
モーターローラ駆動コンベヤ:各ローラにモータが内蔵され、小型で効率的な設計が可能。
平ベルト・Vベルト駆動コンベヤ:平ベルトやVベルトをローラに接触させ摩擦で回転させます。

カーブローラコンベヤ

レイアウトにカーブが必要な現場向けで、製造工場や物流センターなどの複雑な搬送ラインに必要不可欠です。

特殊用途型ローラコンベヤ

耐環境型:高温、低温、多湿環境で使用できる耐久性の高いタイプ。
食品対応型:衛生面に配慮した設計で、食品業界はもちろん医薬品業界の利用にも適しています。

用途ごとの使用例

ローラコンベヤは、多様な業界の現場で活用されており、それぞれの用途に応じた特徴を発揮します。

物流センター・倉庫

商品の仕分けやピッキング作業で利用されます。例えば、段ボールやパレットに梱包された「モノ」を効率的に搬送させることができ、コスト削減と作業スピード向上に貢献します。

製造工場

生産ラインで部品や完成品を搬送する役割を果たします。
主に駆動型ローラコンベヤが使用され、連続運転や間欠運転、速度調整機能が求められる場面に最適です。特に、搬送物を一時的に滞留させる「アキュームレーション機能」を持たせる事で組み立て工程での一時停止やタイミング調整に役立ちます。

食品・医薬品工場など

衛生面を考慮したコンベヤを使用し、食品や医薬品などの搬送や包装作業に活用されます。
ステンレス製や樹脂製のローラなどの部品を採用し、洗浄性と安全性を重視した設計が特徴です。

ローラーコンベヤの特徴と利点

特徴

ローラコンベヤは、そのシンプルな構造と高い柔軟性が特徴的な搬送装置です。以下に主な特徴を挙げます。

素材の多様性

ローラは金属製や樹脂製が一般的で、用途や搬送物の種類に応じて選択できます。金属製は耐久性が高く、重量物の搬送に適しており、樹脂製は軽量の搬送物の搬送に多く使用されています。

シンプルな構造

構造が比較的シンプルなため、設置や組み立てが容易です。またユニット化もされているので、現場のレイアウトに応じて、直線型やカーブ型、傾斜型など自由にカスタマイズが可能です。

改造や変更のしやすさ

部品交換や仕様変更が簡単にできるため、搬送ニーズの変化に柔軟に対応できます。特に、生産ラインの変更や拡張に便利です。

汎用性の高さ

軽量物から重量物まで、さまざまな「モノ」を搬送できるため、製造工場や物流センターなど幅広い分野で使用されています。

利点

ローラコンベヤは、効率的で安定した搬送を実現するだけでなく、多くの利点を持っています。

コストパフォーマンスの高さ

構造がシンプルなため、初期導入費用や運用コストを抑えることができます。また、非駆動型のフリーローラコンベヤは特に低コストで導入可能です。

耐久性と長寿命

頑丈なフレームとローラを採用することで、長期間にわたって安定した性能を維持します。特に金属製のローラは耐摩耗性が高く、重量物の搬送にも適しています。

メンテナンスの容易さ

シンプルな構造により、部品交換や定期点検が簡単に行えます。摩耗部品の交換も短時間で済むため、稼働率を高く維持できます。

作業効率の向上

人手による運搬に比べて、作業者の労力を削減し、大量の搬送物を効率的に搬送できます。これにより、作業時間を短縮し、全体の生産性を向上させます。

多様な環境に適応可能

耐熱性や耐湿性を備えた特殊ローラなどの部品類を採用することで、食品工場や高温環境の工場など、特殊な環境下でも使用可能です。

ローラーコンベヤの選定方法

ローラコンベヤを選定する際は、搬送物や作業環境に応じて適切な仕様を選ぶ必要があります。以下は選定の具体的なステップです。

ステップ1:搬送物の確認

送物の重量、サイズ、形状、材質を確認します。
例えば、重量物を搬送する場合は、金属製のローラや耐久性の高いフレームを選択します。一方、軽量かつ繊細な物品の場合は樹脂製ローラが適しています。

ステップ2:ローラ強度と幅の選定

搬送物を確実に支えるため、ローラの耐荷重性能を確認します。
幅は、搬送物の幅より広く設計することで、搬送中の安定性を確保します。

ステップ3:ローラピッチ(間隔)の選定

搬送物が安定してコンベヤ上を流れるよう、ローラのピッチを設定します。
一般的には、搬送物の底面長の3分の1以下が適切とされています。

ステップ4:自走勾配(傾斜角度)の選定

フリーローラコンベヤを使用する場合、搬送物が自然に流れる適切な傾斜角度を設定します。搬送物の重量や表面の摩擦により、標準的な傾斜角度は3~5度が目安です。(搬送物、搬送環境により適応確度は異なります)

ステップ5:フレームと脚(スタンド)の選定

作業環境や荷重に耐えられるフレームを選びます。
脚(スタンド)は搬送レベルの高さやレイアウトに応じて調整可能なものを選択します。

選定時の注意点

ローラコンベヤを選定する際には、以下の点に注意することで運用効率を最大化できます。

搬送物の確認

搬送物の形状や状態を確認します。
搬送底面が不安定な形状や柔らかい物など、ローラコンベヤでは搬送ができない「モノ」もあるので、確認が必要です。

使用環境の確認

高温、多湿、粉塵が多い環境では、耐久性や耐腐食性のある素材を使用する必要があります。
食品・医薬品工場などでは衛生面を考慮し、ステンレス製や樹脂製のローラや部品、洗浄性の高い構造が適しています。

耐久性とコストのバランス

初期費用を抑えすぎると、頻繁な部品交換が必要になる場合があります。耐久性とコストのバランスを考慮して選定することが重要です。

作業の安全性

コンベヤの仕様設定が適切でないと、搬送物の落下や作業者の安全を損なう危険性があります。
落下防止ガイドやストッパ、カバー類など安全に関する考慮が必要です。

将来的な変更への対応

生産性の変化などによるコンベヤラインの変更に対し、柔軟に対応できるようにしておくのも必要です。マルヤスのコンベヤは、ユニット化された既存コンベヤをベースに、お客様のご要望に添ったカスタマイズも可能なので、将来的な拡張や仕様変更に対応しやすくなります。

保守性の確認

定期的なメンテナンスがしやすい構造のものを選ぶことで、運用効率を維持しやすくなります。
摩耗部品の交換が容易なモデルや、点検口が設置されたフレームが推奨されます。高温、多湿、粉塵が多い環境では、耐久性や耐腐食性のある素材を使用する必要があります。
食品・医薬品工場などでは衛生面を考慮し、ステンレス製や樹脂製のローラーや部品、洗浄性の高い構造が適しています。

ローラーコンベヤの運用ポイントとメンテナンス

運用時の注意点

ローラコンベヤを安全かつ効率的に運用するためには、以下のポイントに注意する必要があります。

適切な搬送速度の設定

処理能力に基づいた速度設定が必要です。搬送速度が速すぎると、搬送物の損傷や、姿勢の乱れ、また搬送そのものが不安定になる可能性があります。特に繊細な物品を扱う場合は、速度を慎重に調整することが重要です。

搬送物の形状・重量への配慮

重量物や不安定な形状の搬送物を扱う場合、人との接触が無いように安全対策を施す必要があります。

安全対策の実施

作業員の安全を確保するために、回転部や可動部、隙間などに安全カバーを設置します。
特に駆動型の場合は、モータやチェーン部分への巻き込まれを防ぐための安全対策と注意喚起が必要です。

適切な設置環境

コンベヤが水平で安定して設置されていることを確認します。傾斜や振動があると、搬送物の流れが乱れる原因となります。

定期的な動作確認

日常的に搬送の動きを確認し、異音やローラの動きの異常がないかをチェックします。小さな異常が大きな故障につながることがあります。

メンテナンスの重要性

ローラコンベヤを長期的に安定して使用するためには、定期的なメンテナンスが不可欠です。以下は具体的なメンテナンスのポイントです。

ローラの点検と清掃

ローラの表面や軸部分にゴミなどの異物が付着すると、スムーズに搬送させることができません。定期的にローラを確認し、異物が付着していたら取り除きましょう。
回転が滑らかでないローラは、早期に交換することでさらなる損傷を防ぎます。

駆動部のメンテナンス(駆動型の場合)

モータやチェーン部分の定期点検を行い、摩耗や緩みがないか確認します。必要に応じてグリスアップを行い、スムーズな動作を保ちます。
ベルト駆動の場合は、テンションが適切に保たれているかを確認してください。

フレームや脚(スタンド)の安定性確認

フレームや脚(スタンド)部分が歪んでいないか、しっかり固定されているかを定期的にチェックします。歪みやぐらつきがある場合、搬送物が安定せず、故障や安全リスクの原因となります。

摩耗部品の交換

ローラ、ベアリング、チェーンなど、摩耗しやすい部品を定期的に交換することで、故障を未然に防ぎます。交換時期の目安をマニュアルや稼働時間に基づいて設定しておくと良いでしょう。

全体的な動作試験

定期的にコンベヤ全体を稼働させ、異常がないかを確認します。特に、長期間使用していなかった場合や環境が変化した場合は、この試験が重要です。

よくある質問(FAQ)

Q.適切な搬送速度の設定

A.搬送速度が速すぎると、物品が落下したり、搬送が不安定になる可能性があります。特に繊細な物品を扱う場合は、速度を慎重に調整することが重要です。

Q. 搬送物の形状・重量への配慮

A. 重量物や不安定な形状の搬送物を扱う場合、ローラの幅やピッチが適切であることを確認します。また、必要に応じて補助ガイドを設置することで安定性を確保します。

Q.安全対策の実施

A.作業員の安全を確保するために、ローラーコンベヤの周囲にガードレールや安全カバーを設置します。
特に駆動型の場合は、モーターやチェーン部分への接触を防ぐための安全対策が必要です。

Q.適切な設置環境

A.コンベヤが水平で安定して設置されていることを確認します。傾斜や振動があると、搬送物の流れが乱れる原因となります。

Q.定期的な動作確認

A.日常的に搬送の動きを確認し、異音やローラの動きの異常がないかをチェックします。小さな異常が大きな故障につながることがあります。

まとめ

ローラーコンベヤは、物流や製造現場で効率的な搬送を支える重要な装置です。本記事では、基本構造や種類、選定方法、運用ポイント、メンテナンスの重要性について解説しました。適切な選定と定期的なメンテナンスを行うことで、効率的で安全な運用が可能になります。ローラーコンベヤを活用し、搬送作業の省力化と生産性向上を実現してください。

マルヤス機械では多彩なローラコンベヤ製品をご用意しています

ローラコンベヤの選定や導入をご検討の方は、当社ホームページの製品検索から製品をお探しください。

また、選定のお手伝いも可能ですのでお気軽にお問い合わせください。